主な疾患

首の痛み(肩こり)は「姿勢」や「動作」、体の「ゆがみ」が原因

近年、IT技術の進歩は目覚ましく、パソコンやスマートフォンを使わずに生活する人はおりません。その一方で、「姿勢」や「動作」、「体のゆがみ」により首の痛みに悩まされている方が爆発的に増えています。

首の痛みの原因として、
①筋肉、筋膜の痛み(頚肩腕症候群)
②③椎間板の痛み(頚椎椎間板ヘルニア、頚椎椎間板症)
④神経の痛み(頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症)
に分けられます。

① 頚肩腕症候群

頚肩腕症候群とは、パソコン操作など長時間にわたる同一姿位の継続や反復によって、神経、筋の疲労を背景として発症し、首から肩に及ぶ筋肉や筋膜(僧帽筋、肩甲挙筋、胸鎖乳突筋)の痛みやこり、しびれなどを来す疾患です。放置して悪化すると、頭痛やめまい、耳鳴りなどの自律神経障害も発症します。若年層から発症し男性より女性に多く発症します。
レントゲン検査では、姿勢の悪さを反映したストレートネック(頚椎の生理的前弯の消失)や前方頭位姿勢(頭が肩より前に出ている姿勢)を認めることが多いです。さらに悪化すると、頚椎後弯(頚椎が後ろに曲がった状態)や椎間板腔の狭小化を認めることもあります。
治療法として、鎮痛剤や筋肉の緊張を和らげる薬、ブロック注射リハビリテーション(姿勢指導、運動療法、物理療法)、頚椎カラーなどの積極的保存療法を行います。悪化すると治療をしても改善に時間がかかるだけではなく、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症に進行してしまうため、痛みやこりを自覚したら早期に受診し治療を開始することが重要です。

②頚椎椎間板ヘルニア

症状

・首や肩甲骨周囲、肩回りの痛み
・首から手にかけての放散痛や痺れ、脱力感

原因

頸椎の後方は、脳との情報交換の経路である脊髄という神経組織が通ります。上記の頸椎椎間板症が悪化して髄核や線維輪が後方に飛び出し、脊髄あるいは分岐した神経の出口(神経根)を圧迫してしまうと頸椎椎間板ヘルニア由来の痛みが出てしまいます。
比較的若い30~50代の男性に多いと言われています。
レントゲン検査では頚椎椎間板症による椎間板腔の狭小化を認めることもありますが、椎間板ヘルニアの確定診断はできないので、MRIでの精密検査が必要となります。

治療

・注射や服薬による筋緊張コントロール
・理学療法士によるリハビリテーション(マッサージ、ストレッチ、運動療法、物理療法、自己管理指導)
・手術療法

正しい姿勢とは?

・立った姿勢の場合
①耳たぶ(耳垂) 
②肩の先端(肩峰)
③足の付け根(大転子)
④膝のお皿(膝蓋骨後方)
⑤外くるぶし(外果前方)

・座った姿勢の場合
①耳たぶ(耳垂)
②肩の先端
③足の付け根(大転子)

これらが縦に一直線になる事が理想とされます。姿勢が崩れてしまうとほとんどの場合で首を前に出した姿勢をとります。そうすると頭が重力によって前に倒れようとすることを防ぐために、首の後ろの筋肉は常に緊張状態になります。また左右非対称の姿勢も筋肉への負担が左右非対称となり、一側の筋緊張が高くなります。筋肉の中は細い血管が張り巡らされており、このような不良姿勢が続き筋肉が持続的に収縮していると血管を筋肉が圧迫することになり、血流が悪くなります。その結果、筋肉由来の首の痛みや肩こりになってしまいます。

頸椎椎間板ヘルニアのチェックポイント
  • 首や肩回りが痛い、凝っている
  • 首を動かしづらい
  • 頭を真上から下に押した際に、首の痛みや手にかけての痺れや痛みが出現
  • 頭を斜め後ろに倒した状態で下に押した際に首の痛みや手にかけての痺れや痛みが出現

当院では症状の改善だけでなく、再発防止を見据え根本的な原因に対し医師と理学療法士が連携して治療に取り組んでおります。

③頚椎椎間板症

症状

・首や肩甲骨周囲、肩回りの痛み

原因

頸椎とは首を形成する7個の骨で、その骨と骨の間に椎間板という水分を多く含んだクッションの役割を果たす組織があります。椎間板は外側を線維からなる線維輪、中心はゼリー状である髄核から構成されます。
頸椎全体の形状は正常であれば、やや前方にカーブを描いています。このカーブのおかげで頸椎にかかるストレスを各方向に分散させることが出来ています。しかし頸椎のカーブが小さい「ストレートネック」の方は正常に比べ、椎間板に首の重さが直接伝わり椎間板は持続的に圧迫されます。すると椎間板の線維輪に亀裂が入り、中の水分が減少して椎間板が変性します。このような過程で椎間板由来の痛みが発生してしまいます。
また、ストレートネックではない方も頸椎椎間板症になることもあり、猫背などの悪い姿勢をとっている方に多くみられます。猫背になると上に重なっている頸椎は前に傾きます。そのままでは常に下を向いたままになり生活に支障をきたすため、人は前を向くために顎を上げた状態になります。この姿勢は椎間板の後方を押しつぶすストレスになるため、痛みに繋がってしまいます。診断はレントゲンを用いて行います。

治療

・注射や服薬による筋緊張コントロール
・理学療法士によるリハビリテーション(マッサージ、ストレッチ、運動療法、物理療法、自己管理指導)

頸椎椎間板症のチェックポイント
  • 首や肩回りが痛い、凝っている
  • 首を動かしづらい
  • 頭を真上から下に押した際に、首の痛みや手にかけての痺れや痛みが出現
  • 頭を斜め後ろに倒した状態で下に押した際に首の痛みや手にかけての痺れや痛みが出現

当院では症状の改善だけでなく、再発防止を見据え根本的な原因に対し医師と理学療法士が連携して治療に取り組んでおります。

④頚椎症性脊髄症(頚髄症)、頚椎症性神経根症

椎体や椎間板など頚椎の前方成分の変形や損傷をきたすと同時に、椎間関節や靱帯などの後方成分の変形も徐々に進んできます。このように椎体や椎間関節の骨棘形成、椎間板の膨隆などの変形を「頚椎症」と言います。
頚椎症による変化によって、頚椎の脊柱管の中にある脊髄が圧迫される疾患を「頚椎症性脊髄症(頚髄症)」といいます。頚髄症は、神経の圧迫により、手先の細かい作業、例えばボタンのはめ外しがしづらい、お箸が使いづらい、字が書きづらいなどが現れます。また、歩行時に脚がもつれる、膝がおれるなど脚の症状がでることもあります。このような症状がある場合、MRIでの精密検査をお勧めします。日本人は脊柱管の大きさが欧米人に比較して小さいため、脊髄症の症状が出やすいだけではなく、転倒した際に脊髄損傷(四肢の神経麻痺がおこる疾患)となる可能性があるからです。頚髄症と診断された場合は、転倒しないように注意が必要です。頚髄症は積極的保存療法である程度の症状の緩和は見込めますが、日常生活に支障がでるような症状がある方には手術療法が選択されることもあります。
「頚椎症性神経根症」は膨隆した椎間板や椎体の骨棘が脊髄から出た神経根を圧迫する疾患です。首の痛みや肩こり、腕の痛みやしびれ、脱力の症状がでます。多くは積極的保存療法で症状の改善が見込めます。

このようなお悩みがある方は、受診をおすすめします

  • 首の痛みや肩こりで医療機関を受診したことがない
  • マッサージや接骨院に通ったが改善しない、もしくは効果が一時的である
  • 肩の痛み(肩こり)やしびれの根本的な原因が知りたい、根本的な治療をしたい
  • 保険証を使ってリハビリやマッサージを受けたい

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)

肩関節周囲炎とは

発症の過程は未だ明らかになっていませんが、肩周囲の筋肉や靭帯、靭帯、関節胞、滑液胞などの組織が加齢により炎症を生じることにより発症します。
一般的には四十肩・五十肩と呼ばれ、中年以降、特に50歳代の方に多いです。
ただし、似たような症状で、腱板断裂、石灰沈着性腱板炎、二次性の肩関節拘縮〈外傷後など〉、上腕二頭筋長頭腱炎などがあり、それらをすべて除外した上で「肩関節周囲炎」と診断します。

肩関節はどのような仕組みをしているか?

肩関節はボールのような部分と、ボールを受けるカップのような部分でできている関節です。
肩関節のボール部分は上腕骨頭と呼ばれ、上腕骨の一部です。
カップの部分は関節窩と呼ばれ、肩甲骨の一部です。
上腕骨頭(ボール)は関節窩(カップ)に引き寄せられていますが、関節窩(カップ)は浅くなっています。
そのため、筋肉や靭帯、関節唇(軟骨)、関節包(関節を包み込む袋)、滑液包(動きを滑らかにする袋)などで安定性を保ち、動かしやすくしています。

肩関節周囲炎には病期(病気や症状の進行度を区分化したもの)があります

病期は大きく3段階に分けられ、それぞれ特徴的な症状や特徴が見られます。

①炎症期
【炎症期の特徴】
・何もしていなくてもズキズキ痛い
・夜中痛くて目が覚める
・一度痛みが出ると、じんじんとした痛みが残る

【炎症期における注意点】
無理矢理動かすと痛みが強くなることがありますので、できる限り安静を心がけましょう

②拘縮期
【拘縮期の特徴】
・痛みは落ち着いているが、動かしにくい
・最終可動域(肩を動かしきったところ)で痛みがある
・痛い方の肩を下にして寝ると痛い

【拘縮期における注意点】
痛みのない範囲で動かしていきましょう

③回復期
【回復期の特徴】
・痛みはほとんどないが、腕があがらない
・筋肉が突っ張る感じがする

【回復期に行うべきこと】
肩周りや肩甲骨を積極的に動かしていきましょう

上記のような、

  • 何もしていなくても痛い(安静時痛)
  • 夜中痛くて目が覚める(夜間時痛)
  • 動きの中で痛みがある(動作時痛)
  • 筋肉のつっぱり感がある(伸張時痛)
このような症状のある方は肩関節周囲炎が考えられますので、整形外科の受診をお勧めします。

当院での取り組み

上記記載の病気に応じて、一人一人に合わせたオーダーメイドの治療を行います。
痛みの強い時期は物理療法を行います。
石灰沈着性腱板炎の場合は体外衝撃波を行います。

腱板断裂

腱板の仕組み

腱板の「腱」とは筋肉が骨につくところの白く筋(スジ)の様になっている部分を指します。
そして、「腱板」はいくつかの腱が集まって板状になっているため、この様な名前がついています。
棘上筋、棘上筋、小円筋、肩甲下筋と言われる4つの筋肉(インナーマッスル)の腱が集まり、腱板を構成しています。
腱板の役割としては、肩甲骨と上腕骨を繋ぎ、腕を挙げ下げするときに、上腕骨頭が肩甲骨の関節窩という面とずれないよう、肩関節の安定化を保つ動きがあります。

腱板断裂とは

腱板断裂とは名前のごとく、腱板が断裂していることを指します。
60歳代の方に多く、特に男性の右肩に多いという報告もあります。
腱板が断裂してしまうと、肩関節の安定化として働くインナーマッスルの力を腕に伝えることができず、腕を挙げることができなくなります。
最近の研究結果では腱板断裂が生じると断裂の大きさや痛み、腕の挙げにくさなどの病状は時間が経つに連れ進行すると言われています。
断裂している範囲が小さい場合は、第一選択として薬剤投与やリハビリを併用した保存療法となりますが、断裂している範囲の広い場合や完全に断裂している場合は、手術となることもあります。
変性が進むと、切れた腱板を付いていたところまで引っ張り出せず、縫うことが困難となることがあります。
治るであろうと経過を見ていると、断裂の大きさや変性が進行し、状態が悪くなった時には治療経過が良くないことが考えられます。

症状
  • 腕を挙げるときに対側の手で支えれば挙がるが、自力では挙ることができない。
  • 腕を挙げた状態で保持できない。
  • じっとしていても肩周りがズキズキする。
  • 寝ている時に肩周りがズキズキして目が覚める。
  • 腕をあげる時にきしむような音がなる。
  • 腕を動かすと痛い
肩関節周囲炎(五十肩)と似た症状の方が多いですが、
特にのような症状がある方は腱板断裂を疑い、精密検査することをお勧めします。

整形外科的テスト

・Drop Arm Test(ドロップアームテスト)
 〈陰性〉腕を挙げた状態で保持できる。
 〈陽性〉腕を挙げた状態で保持できず、腕が下がってくる。

・Hornblower Test(ホーンブローワーテスト)
 〈陰性〉顔に手を持っていくことが出来る。
 〈陽性〉顔に手を持って行こうとすると、脇が開いてしまう。

原因

腱板断裂の原因は「急性断裂」と「変性断裂」の二つに分かれます。
【急性断裂】
・転倒や落下、重たいものを持った際など、急激な肩への負荷で切れてしまう外傷による断裂
特徴:可動域制限や疼痛が急速に発生する。

【変性断裂】
・加齢性の変化で徐々に腱板が徐々にすり減り切れる変性による断裂
・スポーツや仕事により肩を多用すること(オーバーユース)による断裂
特徴:可動域制限や疼痛が徐々に進行していく。

当院での取り組み

上記記載の病気に応じて、一人一人に合わせたオーダーメイドの治療を行います。
痛みの強い時期は物理療法を行います。