主な疾患

首の痛み(肩こり)は「姿勢」や「動作」、体の「ゆがみ」が原因

近年、IT技術の進歩は目覚ましく、パソコンやスマートフォンを使わずに生活する人はおりません。その一方で、「姿勢」や「動作」、「体のゆがみ」により首の痛みに悩まされている方が爆発的に増えています。

首の痛みの原因として、
①筋肉、筋膜の痛み(頚肩腕症候群)
②椎間板の痛み(頚椎椎間板ヘルニア、頚椎椎間板症)
③神経の痛み(頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症)
に分けられます。

① 頚肩腕症候群

頚肩腕症候群とは、パソコン操作など長時間にわたる同一姿位の継続や反復によって、神経、筋の疲労を背景として発症し、首から肩に及ぶ筋肉や筋膜(僧帽筋、肩甲挙筋、胸鎖乳突筋)の痛みやこり、しびれなどを来す疾患です。放置して悪化すると、頭痛やめまい、耳鳴りなどの自律神経障害も発症します。若年層から発症し男性より女性に多く発症します。
レントゲン検査では、姿勢の悪さを反映したストレートネック(頚椎の生理的前弯の消失)や前方頭位姿勢(頭が肩より前に出ている姿勢)を認めることが多いです。さらに悪化すると、頚椎後弯(頚椎が後ろに曲がった状態)や椎間板腔の狭小化を認めることもあります。
治療法として、鎮痛剤や筋肉の緊張を和らげる薬、ブロック注射リハビリテーション(姿勢指導、運動療法、物理療法)、頚椎カラーなどの積極的保存療法を行います。悪化すると治療をしても改善に時間がかかるだけではなく、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症に進行してしまうため、痛みやこりを自覚したら早期に受診し治療を開始することが重要です。

② 頚椎椎間板ヘルニア、頚椎椎間板症

椎間板は頚椎と頚椎の間にありクッションの役割をしています。不良姿勢やスポーツなどが原因となり、椎間板に力学的な負担がかかると椎間板が傷み首の痛みを発します(頚椎椎間板症)。さらに増悪すると傷んだ椎間板が後方に飛び出し(頚椎椎間板ヘルニア)、脊髄や神経根を圧迫し、首の痛みだけではなく、首から腕の痛みやしびれなどの神経症状を呈します。レントゲン検査では頚椎椎間板症による椎間板腔の狭小化を認めることもありますが、椎間板ヘルニアの確定診断はできないので、MRIでの精密検査が必要となります。治療は積極的保存療法を行いほとんどの方の改善を見込めます。

③ 頚椎症性脊髄症(頚髄症)、頚椎症性神経根症

椎体や椎間板など頚椎の前方成分の変形や損傷をきたすと同時に、椎間関節や靱帯などの後方成分の変形も徐々に進んできます。このように椎体や椎間関節の骨棘形成、椎間板の膨隆などの変形を「頚椎症」と言います。
頚椎症による変化によって、頚椎の脊柱管の中にある脊髄が圧迫される疾患を「頚椎症性脊髄症(頚髄症)」といいます。頚髄症は、神経の圧迫により、手先の細かい作業、例えばボタンのはめ外しがしづらい、お箸が使いづらい、字が書きづらいなどが現れます。また、歩行時に脚がもつれる、膝がおれるなど脚の症状がでることもあります。このような症状がある場合、MRIでの精密検査をお勧めします。日本人は脊柱管の大きさが欧米人に比較して小さいため、脊髄症の症状が出やすいだけではなく、転倒した際に脊髄損傷(四肢の神経麻痺がおこる疾患)となる可能性があるからです。頚髄症と診断された場合は、転倒しないように注意が必要です。頚髄症は積極的保存療法である程度の症状の緩和は見込めますが、日常生活に支障がでるような症状がある方には手術療法が選択されることもあります。
「頚椎症性神経根症」は膨隆した椎間板や椎体の骨棘が脊髄から出た神経根を圧迫する疾患です。首の痛みや肩こり、腕の痛みやしびれ、脱力の症状がでます。多くは積極的保存療法で症状の改善が見込めます。

このようなお悩みがある方は、受診をおすすめします

  • 首の痛みや肩こりで医療機関を受診したことがない
  • 他の医療機関で治療を受けたが良くならない
  • マッサージや接骨院に通ったが改善しない、もしくは効果が一時的である
  • 肩の痛み(肩こり)やしびれの根本的な原因が知りたい、根本的な治療をしたい
  • 保険証を使ってリハビリやマッサージを受けたい

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)、腱板断裂

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)に要注意、「腱板断裂」の可能性も?
腱板断裂は早期発見が重要です!
ヒトは40-50歳になると肩の痛みを経験することが多いです。しかしながら「四十肩は放っておいても治る」「五十肩は年だからしょうがない」と判断されることが多く、肩の痛みが放置されることもあります。しかし肩の痛みといっても、さまざまな原因があります。特に中高年に多く、大きな問題をおこすのは「腱板断裂」です。国内の患者数は約600万とも推計され、50歳以上の4人に1人は腱板断裂があるという報告があります。腱板断裂自然に治癒することがなく放置すると悪化するため、早期の診断がとても大切な疾患です。医療機関で適切な診療をおこなえば、腱板断裂を見逃さず、早期に治療し後遺症を残さない可能性が高まります。四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)は病名ではなく、肩の痛みの原因が分からなかった数十年間に名付けられた肩の痛みの俗称です。現在では超音波検査MRI検査の発展により、痛みの原因がわかってきました。具体的には、腱板断裂、変形性肩関節症、肩峰下滑液包炎、(石灰性)腱板炎、上腕二頭筋長頭腱炎、肩関節不安定症、関節唇損傷、肩関節拘縮などの病名があります。この中で特に要注意なのが「腱板断裂」です。これは発生頻度が高く、放置していると重症化してしまうからです。腱板とは肩を上げる内側の筋肉(インナーマッスル)で肩関節を安定させる(上腕骨頭の求心位を保つ)筋肉です。一方、外側の筋肉はアウターマッスルと呼ばれ、強い力で肩を持ち上げる筋肉です。腱板断裂がおきると肩関節の安定性が低下し、上腕骨頭がぐらぐらした状態で肩が動きます。その状態でアウターマッスルによって肩が動かされると、余計に断裂部位に負担がかかり、断裂が悪化してしまいます。腱板断裂には、腱板の一部が傷む部分断裂と、完全に切れてしまう完全断裂があります。部分断裂は、腱板の表面が断裂する滑液包面断裂、腱板の裏面が断裂する関節包面断裂、腱板の表面と裏面の間が断裂する腱内断裂に分類できます。部分断裂ではある程度時間はかかりますが、自然修復する可能性は高いです。一方、完全断裂は、この3つが合わさり完全に断裂した状態で、腱板の断端が縮んで離れてしまい修復することができません。腱板断裂を早期に発見し、完全断裂となる前に治療する必要があります。
腱板の部分断裂部の修復を促すためには、断裂部への物理的な負担を減らす必要があります。動かさないように安静にする方法も一つですが、腱板以外の肩周囲の筋肉が硬くなったり(拘縮)、弱くなったり(筋萎縮)することで腱板の痛みはなくなっても、拘縮や筋委縮による痛みや可動域制限が出る可能性があります。そした状態を防ぐためには、腱板に負担をかけず修復しやすい環境を整え、周りの筋肉を鍛えるリハビリテーションが必要です。具体的には、肩関節周囲の筋肉の柔軟性を取り戻して上腕骨と肩甲骨の位置関係のずれを直し(求心位に戻し)、肩甲骨の動きをよくすることと、筋力トレーニングをすることによって肩関節の安定性を高めるリハビリテーションです。

このようなお悩みがある方は、受診をおすすめします

  • 肩を動かすと痛い、動かしづらい
  • 腕が痛い
  • 肩が痛くて眠れない
  • 肩を打撲した(外傷性腱板断裂の可能性も)
  • 肩の痛みの根本的な原因が知りたい、根本的な治療をしたい
  • 保険証を使ってリハビリやマッサージを受けたい